2019.06.05
外壁や屋根に塗られた塗料が劣化する要因はさまざまですが、その中でも特に塗膜への影響が大きいのはカビやコケなどです。
カビやコケなどが生えてしまうと、塗膜に根を張るため、通常の汚れと違って洗浄だけで落とすことができず、カビ取り剤などを用いて洗浄したとしても完全に落としきることができません。
また、塗膜内に侵入した根によって外壁の防水性も低下するため、外壁が雨などの水分に晒されやすくなってしまい、建物そのものにもダメージを与えてしまう可能性があります。
その他にも、カビが生えた外壁を放置していると、カビの胞子が空気中に舞うため、吸引による呼吸器疾患が起こるかもしれません。
建物の見た目や耐久性、住人の健康に大きなリスクが起きる可能性が高いカビや苔の発生を防ぐためには、こまめな洗浄または防カビ塗料による塗装が効果的です。
防カビ塗料とは、塗料そのものに防カビ剤を配合している塗料のことです。
あらかじめシリコン塗料やウレタン塗料などに防カビ剤を混ぜて販売しているものと、市販塗料に混合して使用する塗料用防カビ剤、塗装下地に使用してカビの発生を防ぐものなどがあります。
防カビ剤や防苔剤の場合、薬剤によっては対応していない種類のもの、つまり発生を防げないカビや苔などがあるのですが、近年販売されている商品では多数の菌種に対応しているため、ほぼ問題無くカビや苔の発生を防ぐことができるでしょう。
例として、アステックペイントが開発した防カビ添加剤「アステックプラスS」では、合計で703種類もの菌類に対し高い抗菌力を発揮するとされています。
防カビ塗料の中には通常の塗料に混合して使用するものがあります。
このタイプの防カビ塗料は、好きな塗料に抗菌性を持たせることができるため、比較的自由に塗料を選べるというメリットがあるのですが、混合することによって塗料の品質が低下したりするようなことはないのでしょうか?
混合タイプの防カビ、防苔塗料には、添加物が含まれているものと無添加のものとがあります。
添加物入りのものの場合、混合する塗料によっては添加物が反応し、塗料の品質が変わってしまう可能性があるため、混ぜても問題のない塗料の選定が必要です。
無添加タイプの場合は添加物による成分の変化が抑えられるため、比較的自由に塗料を選ぶことができます。
とはいえ、100%問題が起こらないとは断言できない部分もありますので、混合タイプを利用する場合には、塗料と防カビ剤のメーカーを併せた方が良いでしょう。
防カビ塗料は外壁の劣化を防止できる優れた製品ですが、防カビ剤を追加する必要があるため、面積あたりの施工費用はどうしても通常の塗料に比べてやや割高です。
費用を抑えつつ防カビ塗料の効果を最大限に活用したいという場合には、外壁の日当たりが悪い面や風通しが悪い部分にのみ防カビ塗料を使用し、その他の部分には通常の塗料を使用すると良いでしょう。